TAB 多読 -tadoku and beyond!-  

いっぱい読んでたっぷり聞けば、英語はかって出てきます!

  

2013/05/19

英語ムラ住民 


本屋に行くと、こんな本が山積みされています。 
爆笑! 英語コミックエッセイ  日本人のちょっとヘンな英語
  • 作者: デイビッドセイン,中野きゆ美
  • 出版社/メーカー: アスコム
  • 発売日: 2012/01/30
  • メディア: 単行本
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 帯には、こんなマンガがのっています。
日本人女性が趣味を聞かれ、「街をブラブラするのが好き」と言いたくて、"I like street walking."と言いました。しかし、セイン先生によれば、street walkingは「売春」という意味らしく、こんなこと言ったら売春婦と思われる、ってオチです。

本当に、全世界でstreet walkingが「売春」という意味になるのでしょうか。(今調査中です。ただし、辞書なんて使いません。いろんな国の人に聞いてみます。)そんなわけないでしょ。もし、このセイン先生の出身国(調べる気にもならん)で、そういう意味になるとしても、英語はその国だけで使っているわけじゃないのです。英語は今やInternational Languageです。もしそうじゃないとすれば、日本の公教育で必修科目にしてはいけません。あくまで「国際共通語」としての英語なのです。

こういう論文もあります。

この部分読んで見てください。
How English develops in the world is no business whatever of native speakers in England, the United States, or anywhere else. They have no say in the matter, no right to intervene or pass judgement.「世界中で英語がどんどん変わっていきます。しかし、イギリス人、アメリカ人、その他どこの国のネイティブ・スピーカーも、その変化に対してああだこうだ言う権利などないのです。」

また、L. Smithって人の、1976年(!)の論文にはこう書かれているようです。
The educational goal of learning an international language is to enable learners to communicate their ideas and culture to others. 「国際共通語として英語を身につけることは、自分の考えや文化を英語を使って相手に伝えられるようになることである。」

セインとかいう人に、「street walkingは売春って意味になるよ。」 と言われたら、「あのね、日本は売春婦がストリートをうろうろしているような淫らな国じゃないの。あんたの国はおかしいんじゃないのか?」と言い返してやればいいのです。

逆に考えてみましょう。

日本語を学習している外国人に、「ねえ今日テニス一緒にやらない?」と聞いたら、「はい。すごくあなたとヤりたい!」と答えました。このときあなたは、「あのね、『あなたとヤりたい』という言い方は、『あなたと性交渉を持ちたい。』という意味になるから使わないようにね。」って言いますか?

古典的な例ですが、riceの"R"の発音を"L"でやると、レストランでご飯を注文したらノミ(lice)が出てくる、というのがありましたよね。レストランで「ノミ」がメニューにあるのか!レストランで堂々とLICEって言えばご飯が出てくるに決まってるでしょう。

本当に、日本人は「英語」に関しては悲しいまでに正常な思考力を失ってしまうのです。これも「英語ムラ」の洗脳です。セイン先生は、こんな本を「20万部!」も売って大儲け。いいんですか?

2013/05/15

言葉の力②


前記事で批判した、ビブリオバトル、ですが、なんと「全ての都立高校」が1名の生徒を参加させなければならないそうです。また、「言語能力推進指定校」は5名の生徒が参加しなければならないそうです。

文春新書『ビブリオバトル』によると、ビブリオバトルの「公式ルール」は、
1.発表参加者が読んで面白い本を持って集まる。
2.順番に1人5分間で本を紹介する。
3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを「『チャンプ本』」とする。
ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム (文春新書)

本の愛好家が日曜日に近くの喫茶店に集まってやるならおもしろいでしょうね。しかし、教育委員会が主催し、高校生に強制参加させ競わせるとしたら、私には許せません。「読書」という行為に対する冒涜でしかありません。こんなのにすすんで参加しようとしてる国語教員がいたらその場で「教師やめろ!」と怒鳴りつけてやりたいくらいです。

この「高校生書評合戦首都大会2013」(ビブリオバトル)は、東京都教育庁指導部指導企画課というところが主催しているようです。教員対象の説明会資料を入手したのですが、おかしなことがいっぱい書いてあります。

「言葉の力」再生プロジェクト
「世界基準の言語力」「日本人の感性と情熱」
 >言葉の力を再生し、世界で活躍できる若者を育てる。

意味不明です。世界基準の言語力とは何か?英語のことですか?何が言いたいのでしょう?大体「再生」というのは、死んだものを再び生き返らせることです。「言葉の力」は今死んでいるのでしょうか?死んでいるのだとしたら説明してほしい。また、資料にはないですが、指導主事はこんなことも言っていたとのこと。

世界基準の言語能力を日本人の感性だけでなく(身につけさせる?)

どうやら、国粋主義者の前都知事に気をつかって「日本人の感性と情熱」という文言を加えたのはいいが、本音は「世界基準」で「日本人の感性なんていってたら世界では通用しない」ってことなんでしょうね。もう、バカ丸出しではないでしょうか。でも結局、この事業の「ねらい」は以下のもののようです。

「ねらい」 活字に親しむ学校づくり(を通して児童・生徒の)言語能力の向上

結局、こどもにもっと本を読ませたいだけですよね。それは大切ですよ。でもね、前の記事に書いたように、こどもから本を読む時間と環境を奪っているのは教育委員会主催の「教育活動」や「推進事業」です。こんなことしなくても、週1時間、ただ本を読む時間をつくり(朝の10分読書では足りません!)、教員が読書の楽しさを伝える努力をすればいいのです。前の記事で紹介したブログを読みなさい!そして、以下の本も読みなさい!(ここまできたら何としても翻訳を出そうと思ってます!)
The Book Whisperer: Awakening the Inner Reader in Every Child: Includes Printable PDF
これも読みなさい!(日本語訳が結構ひどいので、英語が読める方は是非英語版を。)
読み聞かせ―この素晴らしい世界
The Read-Aloud Handbook: Seventh Edition

もう馬鹿らしくなったので「資料」を引用するのはやめます。とにかく無機質な用語を振り回しているだけで、とてもじゃないけど「日本人の感性や情熱」も伝わらないし「言葉の力」も感じられません。このページ見てみてください。

ここまで怒ることもないかもしれません。しかし、こんなことに莫大な税金が使われているのです。例えば、くだらない資料をつくり、現場の教員に「指導・助言」と称して「命令」をしている指導主事だけでもたくさんいます。もちろん、ヒラの教員よりは高給取りです。様々なパンフレット、会場使用費、研修に参加させられる教員の交通費、お偉い大学の先生を講師に招くための報償費....

繰り返しますが、本当にこどもに本を読ませたいのなら、

学校の図書館にもっと本を入れる。
専属、フルタイムの学校司書を全ての学校に配置する。
教員こそ読書家になり、読書の楽しさを生徒に伝える。
週1時間、図書館で本を読むだけの授業を設ける。

これだけでいいのです。私の妄想だけで言っているのではありません。実際に自分でやったこと、上に紹介した本に書いてあることです。私の娘は、小学校の「図書の先生(=学校司書)」さんが、毎週1時間「図書」という授業をやっていました。娘が6年生のときに見学しましたが、素晴らしいの一言。最初は先生の読み聞かせ(6年生なのでちょっと長めの本を途中まで。するとこどもは「えー!もっと読んでよ!」先生は「じゃあ借りて読みなさい!」これぞプロの技。)その後、何人かの生徒が最近読んだ本の紹介をする。(「バトル」ではない!)先生のコメントも素晴らしい。その後、先生が何冊かブックトーク。いろんなジャンルを紹介します。「○○君、こないだ鉄道博物館行ってすごかったって行ってたよね。こんな本買ったから読んでみたら。」などと、本当に一人一人のこどもをよく見て、多くのこどもが「読みたくなる」ようなブックトーク。これも「プロ」の技。で、最後の20分くらいは、こどもが勝手に好きな本を読む時間。チャイムが鳴ったら「はーい!じゃあ貸し出しするよ!」と言って、最低1冊本を借りていく。これが「図書」の授業でした。

残念ながら、下の息子が5年生になるとき、この先生もご退職。その後司書は補充されず、図書の時間はなくなったとのこと。娘は中学生になった今でもよく本を読みます。私が本屋に行くとフラーっとついてきて、レジに5冊くらい本を持ってきます。5年生から図書の時間がなくなった下の息子は、うーーーーむ。男女の違いはあるとはいえ、娘を本好きにしてくれたのは、明らかにこの素晴らしい先生と「図書の時間」です。娘によると、司書の先生は「○○区は本買うお金くれないのよねー。」といいながら、自分のお金でたくさん本を買っていたとのこと。

こういう本当に素晴らしい先生の教育活動と比べたら、教育委員会主催の「○○向上事業」なんて、「教育ムラ」の既得権益を保持あるいは拡大することしか考えていません。

国民のみなさん、もっと怒りましょう!

補足
ネットの普及が活字離れの原因という「専門家」が多いですが、これ全くのウソ。ネットがあるから、本をもっと読んでいるという人たくさんいます。私もアマゾンの書評をよく読みます(ただし買うのは本屋で買います。アメリカ企業に日本をのっとられたくないので。)。「ブクログ」や「Goodreads」など読書家が集うSNSなどは、読書の楽しみを倍増してくれます。Twitterなんかで紹介されている本を読むことも多い。活字離れどころか、活字に接する機会は激増しているのです。こんなこともわからない専門家は、読書もしないし、ネットも使ったことないんでしょうね。

言葉の力①



言語能力推進事業というのがあります。

こんなことに、莫大な税金を使っています。いくつかの学校を「推進校」に指定して何かやらせて報告書を書かせたり、「研修会」を開催させて「指導主事」や「偉い大学の先生」を招いたりしています。ビブリオバトル、なんてのも開催しています。全都立高校生対象に本を紹介するパンフレットを作って配布しています。とにかく、たくさんのお金を使っています。(お見せしたいです。ひどい代物です。作った人間が、本当に本を読んでいるのか?と疑いたくなります。)

もちろん、これで本当に高校生の「言語能力」が「高く」なるのであれば税金をいくら使っても文句は言いません。。しかし、普通の人がみたら、こんなことして「言語能力があがる」とは思えないですよね。

その一方で、学校図書館の司書をどんどん減らしています。図書館で本を買う予算もどんどん削られています。「学力スタンダード」と称して、生徒と教員を「点数」で追いたてようとしています。こんなことをしながら、担当の指導主事はぬけぬけと「言語能力向上はひとことで言えば活字に親しむことです。」と言いました。(それだけのための研修かいな!と参加者全員ずっこけました。なんと、「優秀」な指導主事先生でしょうか。)

言語能力推進を現場で担う教員は、自分が考えていることを論理的に発言する機会はありません。「週ごとの指導計画」「自己申告書」「研修報告書」など、事務的な文書をあたりさわりなく書く仕事ばかりしています。特に若い教員が、本を読んでいろいろ考える時間もありません。若い教員は、会議でもほとんど意見を言いません。言ってはいけないと思っているようです。教員の「言語能力」は激しく低下しています。別に、質が下がったわけではありません。淡々と業務をこなす「ロボット教員」を教育委員会が養成しているのです。(私は、「サラリーマン教師」という言い方はサラリーマンの方に失礼なので使いません。まぁ「ロボット」にも失礼かもね。)

国民のみなさん、もっと怒ってください。これが「教育ムラ」の実態です。多額の税金を使って、教育委員会や優秀な先生方の「実績づくり」だけが行われ、生徒から「学びの機会と環境」をどんどん奪っているのです。教育委員会は、本気で「愚民育成」をたくらんでるとさえ思っています。(※1)

それにひきかえ、こんなすばらしい「私塾」もあります。この講師の方のブログ、じっくり読んでみてください。これぞ、「理想の学校」「本当の教育」なのではないでしょうか。学校の教員として、本当に恥ずかしくなりました。

※1 地理Aの「学力スタンダード」の中に、「尖閣諸島竹島北方領土等が日本の領土であることを歴史的経緯も含めて説明できる。」という項目が目標の1つとしてあげられている、とある社会科の教員が言っていました。(私は確認していませんが。)もし本当だったら、「学力」も「言語能力」も、権力に都合のいいことが言える、理解できる力ということになるでしょう。(ちなみに、私は上に挙げた領土は日本の領土だと思っていますし、もっと主張すべきだと思いますが、あくまで自分で本を読み、考えた結果の結論です。)